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タモリ「お疲れ様」は失礼? [ニュース(エンタメ)]

7月に、フジテレビ「ヨルタモリ」内で、最近の子役タレントが「お疲れ様です」という風潮にたいして、タモリが「お疲れ様です」は目上の者に使ってはいけないと指摘していました。これにたいして、私も思わず調べてしまいましたが、まだ、話題になっているのですね。

ビジネスマナーでは、次のようになっています。
目上→目下:「ご苦労さま」
目下→目上:「お疲れさま」

もっともなことを言えば、「ご苦労さま」も「お疲れさま」も相手をねぎらうことばです。相手をねぎらうという行為は、おのずから上下関係が生まれます。つまり、相手の苦労や尽力についてなぐさめ、感謝する、という意味ですので、ことばを投げかける相手は、自分とは同等以下の人、ということになります。
したがって、どちらも、目上には使えません。
タモリさんの指摘は、この点では、的を射ているわけです。

しかし、現在のビジネスマナーでは、現在、目上の者は「ご苦労さま」、目下の者は「お疲れさま」を使うことが正しいとされています。なぜ、そのようなことが起こったのか、と考えたとき、身分制度から解放された近代国家においては、快適な職場環境のためにも、上司へのいたわりの気持ちも必要だという、日本人らしい気配りの文化が浸透したのだと思いますが、ここは、日本語の指針を定めている文化庁の「敬語の指針」を見てみましょう。

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「御苦労様」は、基本的には、自分側のために仕事をしてくれた人、例えば、配達をしてくれた店員などに対して、「ねぎらい」の気持ちを込めて用いる表現である。(なお、このような場合に「お疲れ様」と言うのは不自然である。)ねぎらいは、上位者から下位者に向けたものとなるため、目上の人に対しては、「御苦労様(でした)」を用いない方が良い。
これに対し 「お疲れ様」は、「ねぎらい」の気持ちを込めて使われる表現ではあるが、一緒に仕事をした後など、お互いに声を掛け合うような場合にも多く用いる表現である。(なお、このような場合に「御苦労様」と言うのは不自然である。)そのような状況であれば、「お疲れ様」ではなく「お疲れ様でございました」などを用いるというような丁寧な言い方であれば、だれに対しても使える表現である。したがって、仕事上の上司であっても使うことができる。
要するに、時間外に仕事を教えてくれた上司に対しては、「御苦労様でした」というねぎらいの言葉ではなく、「ありがとうございました」と感謝の気持ちを表す言い方に変えた方が良く、一緒に書類作成に追われていた上司に対しては、「お疲れ様でございました」と、気持ちを込めて表現すれば良いわけである。
ただし、このような定型的な表現ではなく、例えば「おかげ様で仕事が少し分かるようになってきました。」などと、別の観点に立った表現を使うことで、上手に自分の気持ちを相手に伝えることも可能である。
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ことばというのは時代とともに変化します。
日本語は、日本で使われる民族語でもあるため、文化庁での指針が基準となります。もちろん、文化庁は、時代の変化を加味しつつ指針を定めるため、時代にあわせたスタンダードなことばづかいといってよいでしょう。現に、日本語を母語としない人たちへの日本語教育では、この指針が大きな意味を持ちます。

「ご苦労さま」も「お疲れさま」も敬語表現になりますが、個人的な意見としては、敬語をマスターするのは、就職を意識する大学3年生以上になってからでもよいと思います。なぜなら、ことばは日常的に使用することが必要ですが、大学までの人間関係では敬語を使用するシーンが少ないのも事実です。当然、大学1年生から敬語の練習をすることは必要ですが、おそらく、その必要性や重要性について実感するのは、就職活動が始まってからです。人間は、必要に迫られて、はじめて実感をもって習得するものですので、1年生の間に知識だけは教え、あとは、実践しながら身につけることが効率的なのです。

その点からいうと、子役タレントは、オトナの社会に身をおいているわけですので、実践するのは当然でしょう。タモリさんがやさしくても、業界の人間は、子役であろうが容赦しないものですから。

ちなみに、敬語には、尊敬語、謙譲語、丁寧語があります。それぞれの違いは、以下のとおりです。

・尊敬語:相手の言動を上げる
・謙譲語:自分の言動を下げることで、相手の言動を上げる
・丁寧語:ことばを丁寧にする

敬語表現を考えるとき、相手への尊敬の念は、尊敬語>謙譲語>丁寧語 です。
敬語を使うときには、このポイントを覚えておくと便利ですよ。

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