東京五輪エンブレム問題は終結?【佐野氏「エンブレムにつきまして」全文】深くお詫び [ニュース(国内)]
7月以降、ゆれにゆれていたデザイナー・佐野研二郎氏が制作した2020年東京五輪・パラリンピックのエンブレムについて、大会組織委員会は使用を中止して取り下げることを決めました。
これまでの経緯をおさらいしましょう。
7月24日
エンブレムが公表された後、ベルギーの劇場ロゴを制作したデザイン会社が、佐野氏のエンブレムが自社が作成したロゴと類似していると指摘。
8月5日
佐野氏が会見し、「盗用との指摘はまったくの事実無根」とエンブレムのオリジナリティを強調。
8月14日
類似を指摘した、ベルギーのデザイナーの代理人が、国際オリンピック委員会にたいし、使用差し止めを求める訴訟を起こしたと発表。
8月28日
大会組織委員会が会見し、応募された原案などを公表してオリジナリティを主張。
その後、佐野氏の原案が、2年前に東京で開かれた展覧会のポスターに似ているとネットで話題に。
8月31日
佐野氏によろ、街頭でのエンブレムの使用イメージとして提示した画像2点が、他人のサイトからの無断引用の可能性があるとして、大会組織委員会が調査に着手。
9月1日
大会組織委員会が佐野氏のデザインの使用中止を決定。←今、ここ。
大会組織委員の武藤敏郎事務総長によると、使用中止を決めた理由は「佐野氏は使用イメージ画像の無断転用は認めたが、エンブレムの模倣や盗作は否定している。組織委も盗作とは考えていないが、今や一般国民の理解を得られなくなった」ということです。
STAP問題も新国立競技場もそうですが、引き際の悪さが目立ちます。早々に引いていれば、傷も深くならなかっただろうに、と思うのですが、確かに、「ごね得」というものが存在する限り、引き際が悪い方が得をすることもありますから、その見極めができるか否かが、トップには必要なのでしょう。そのことを痛感させられる事件です。
佐野氏は、以下のコメントを公表しています。
***********
【エンブレムにつきまして】
私は、東京オリンピック・パラリンピックの大会の成功を願う純粋な思いからエンブレムのコンペティションに参加致しました。エンブレムがフラッグに掲げられ、世界中の人に仰ぎ見られている光景や、金メダルに刻まれたエンブレムを強くイメージしながら伝統的かつ新しい日本、東京を表現すべく大胆に、そして丁寧にデザイン致しました。
このような国をあげての大切なイベントのシンボルとなるエンブレムのデザイン選考への参加は、デザイナーにとっては大舞台であって、疑いをかけられているような模倣や盗作は、原案に関しても、最終案に関しても、あってはならないし、絶対に許されないことと今でも思っております。模倣や盗作は断じてしていないことを、誓って申し上げます。
しかしながら、エンブレムのデザイン以外の私の仕事において不手際があり、謝罪致しました。この件については、一切の責任は自分にあります。改めて御迷惑をかけてしまったアーティストや皆様に深くお詫びいたします。
その後は、残念ながら一部のメディアで悪しきイメージが増幅され、私の他の作品についても、あたかも全てが何かの模倣だと報じられ、話題となりさらには作ったこともないデザインにまで、佐野研二郎の盗作作品となって世に紹介されてしまう程の騒動に発展してしまいました。
自宅や実家、事務所にメディアの取材が昼夜、休日問わず来ています。事実関係の確認がなされないまま断片的に、報道されることもしばしばありました。
また、私個人の会社のメールアドレスがネット上で話題にされ、様々なオンラインアカウントに無断で登録され、毎日、誹謗中傷のメールが送られ、記憶にないショッピングサイトやSNSから入会確認のメールが届きます。自分のみならず、家族や無関係の親族の写真もネット上にさらされるなどのプライバシー侵害もあり、異常な状況が今も続いています。
今の状況はコンペに参加した当時の自分の思いとは、全く別の方向に向かってしまいました。もうこれ以上は、人間として耐えられない限界状況だと思うに至りました。
組織委員会の皆様、審査委員会、制作者である私自身とで協議をする中、オリンピック・パラリンピックを成功させたいとひとえに祈念する気持ちに変わりがない旨を再度皆様にお伝えしました。また、このような騒動や私自身や作品への疑義に対して繰り返される批判やバッシングから、家族やスタッフを守る為にも、もうこれ以上今の状況を続けることは難しいと判断し、今回の取り下げに関して私自身も決断致しました。
今後につきましては、私の作品や仕事を通じて少しでも皆様の信頼を取り戻すべく日々の仕事に専念するしかないと思っております。
図らずもご迷惑をおかけしてしまった多くの方々、そして組織委員会の皆様、審査委員会の皆様、関係各所の皆様には深くお詫び申し上げる次第です。上記事情のゆえ今回の判断に関しましてはどうか御理解くださいますようお願い申し上げます。
2015年9月1日 佐野研二郎
***********
・・・どうなのでしょうね。
以前にも書きましたが、現在、完全なオリジナルというのは難しいと思うのです。
なにかのパロディや、オマージュが増えました。オマージュ・・・良いことばですが、乱用気味かもしれません。しかし、それだけ、新たなデザインを生みだすことは難しいのです。
ということを踏まえて佐野氏のデザインを見ると・・・手抜きをしてはいけないところを手抜きしたため、そこからほころびが生じた、といえるでしょう。一方で、オマージュといわず、あくまでもオリジナルのものだと主張したのも、逆効果だったな、と。だって、似ているのは事実だから。
かといって、佐野氏に対する犯罪行為は許されるものではありません。が、この、なんでしょう、STAP細胞問題とのデジャヴ感が半端ではありません。
この手の問題は、これからますます起きると思います。
一斉に、記者会見で頭を下げて終結する問題ではありません。見る者に不快感を与えないスマートで良い「謝り方」とはどのようなものか、探してみたくなりました。
これまでの経緯をおさらいしましょう。
7月24日
エンブレムが公表された後、ベルギーの劇場ロゴを制作したデザイン会社が、佐野氏のエンブレムが自社が作成したロゴと類似していると指摘。
8月5日
佐野氏が会見し、「盗用との指摘はまったくの事実無根」とエンブレムのオリジナリティを強調。
8月14日
類似を指摘した、ベルギーのデザイナーの代理人が、国際オリンピック委員会にたいし、使用差し止めを求める訴訟を起こしたと発表。
8月28日
大会組織委員会が会見し、応募された原案などを公表してオリジナリティを主張。
その後、佐野氏の原案が、2年前に東京で開かれた展覧会のポスターに似ているとネットで話題に。
8月31日
佐野氏によろ、街頭でのエンブレムの使用イメージとして提示した画像2点が、他人のサイトからの無断引用の可能性があるとして、大会組織委員会が調査に着手。
9月1日
大会組織委員会が佐野氏のデザインの使用中止を決定。←今、ここ。
大会組織委員の武藤敏郎事務総長によると、使用中止を決めた理由は「佐野氏は使用イメージ画像の無断転用は認めたが、エンブレムの模倣や盗作は否定している。組織委も盗作とは考えていないが、今や一般国民の理解を得られなくなった」ということです。
STAP問題も新国立競技場もそうですが、引き際の悪さが目立ちます。早々に引いていれば、傷も深くならなかっただろうに、と思うのですが、確かに、「ごね得」というものが存在する限り、引き際が悪い方が得をすることもありますから、その見極めができるか否かが、トップには必要なのでしょう。そのことを痛感させられる事件です。
佐野氏は、以下のコメントを公表しています。
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【エンブレムにつきまして】
私は、東京オリンピック・パラリンピックの大会の成功を願う純粋な思いからエンブレムのコンペティションに参加致しました。エンブレムがフラッグに掲げられ、世界中の人に仰ぎ見られている光景や、金メダルに刻まれたエンブレムを強くイメージしながら伝統的かつ新しい日本、東京を表現すべく大胆に、そして丁寧にデザイン致しました。
このような国をあげての大切なイベントのシンボルとなるエンブレムのデザイン選考への参加は、デザイナーにとっては大舞台であって、疑いをかけられているような模倣や盗作は、原案に関しても、最終案に関しても、あってはならないし、絶対に許されないことと今でも思っております。模倣や盗作は断じてしていないことを、誓って申し上げます。
しかしながら、エンブレムのデザイン以外の私の仕事において不手際があり、謝罪致しました。この件については、一切の責任は自分にあります。改めて御迷惑をかけてしまったアーティストや皆様に深くお詫びいたします。
その後は、残念ながら一部のメディアで悪しきイメージが増幅され、私の他の作品についても、あたかも全てが何かの模倣だと報じられ、話題となりさらには作ったこともないデザインにまで、佐野研二郎の盗作作品となって世に紹介されてしまう程の騒動に発展してしまいました。
自宅や実家、事務所にメディアの取材が昼夜、休日問わず来ています。事実関係の確認がなされないまま断片的に、報道されることもしばしばありました。
また、私個人の会社のメールアドレスがネット上で話題にされ、様々なオンラインアカウントに無断で登録され、毎日、誹謗中傷のメールが送られ、記憶にないショッピングサイトやSNSから入会確認のメールが届きます。自分のみならず、家族や無関係の親族の写真もネット上にさらされるなどのプライバシー侵害もあり、異常な状況が今も続いています。
今の状況はコンペに参加した当時の自分の思いとは、全く別の方向に向かってしまいました。もうこれ以上は、人間として耐えられない限界状況だと思うに至りました。
組織委員会の皆様、審査委員会、制作者である私自身とで協議をする中、オリンピック・パラリンピックを成功させたいとひとえに祈念する気持ちに変わりがない旨を再度皆様にお伝えしました。また、このような騒動や私自身や作品への疑義に対して繰り返される批判やバッシングから、家族やスタッフを守る為にも、もうこれ以上今の状況を続けることは難しいと判断し、今回の取り下げに関して私自身も決断致しました。
今後につきましては、私の作品や仕事を通じて少しでも皆様の信頼を取り戻すべく日々の仕事に専念するしかないと思っております。
図らずもご迷惑をおかけしてしまった多くの方々、そして組織委員会の皆様、審査委員会の皆様、関係各所の皆様には深くお詫び申し上げる次第です。上記事情のゆえ今回の判断に関しましてはどうか御理解くださいますようお願い申し上げます。
2015年9月1日 佐野研二郎
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・・・どうなのでしょうね。
以前にも書きましたが、現在、完全なオリジナルというのは難しいと思うのです。
なにかのパロディや、オマージュが増えました。オマージュ・・・良いことばですが、乱用気味かもしれません。しかし、それだけ、新たなデザインを生みだすことは難しいのです。
ということを踏まえて佐野氏のデザインを見ると・・・手抜きをしてはいけないところを手抜きしたため、そこからほころびが生じた、といえるでしょう。一方で、オマージュといわず、あくまでもオリジナルのものだと主張したのも、逆効果だったな、と。だって、似ているのは事実だから。
かといって、佐野氏に対する犯罪行為は許されるものではありません。が、この、なんでしょう、STAP細胞問題とのデジャヴ感が半端ではありません。
この手の問題は、これからますます起きると思います。
一斉に、記者会見で頭を下げて終結する問題ではありません。見る者に不快感を与えないスマートで良い「謝り方」とはどのようなものか、探してみたくなりました。
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