SSブログ

菅官房長官「たくさん産んでください」「国家に貢献」の発言撤回求めるネット署名:重要なのは雇用問題・社会構造の改革 [ニュース(政治)]

内閣官房長官の菅義偉氏が9月29日の「直撃LIVE グッディ!」(フジテレビ)に生出演し、福山雅治さんと吹石一恵さんの結婚についてコメントをしました。

菅グッディ出演.jpg
***********
「本当によかったですよね。この結婚を機にですね、やはりママさんたちが『一緒に子ども産みたい』とか、という形で国家に貢献してくれればいいなと思ってます」
「たくさん産んでください」
***********

この発言の撤回を求める署名運動が10月1日から署名サイト「Change.org」で展開され、すでに目標の1万人まで200人を切っているとのことです。

この番組の発言を受けて、同日午後の記者会見では、「女性から子どもを産むことが前提だと取られかねない発言ですが」と記者から改めて真意を問われると、菅氏は「まったくそういう趣旨ではありません」と否定しました。また、「結婚や出産が個人の自由なのは当然なことです。政府としては、子どもを産みやすい、または育てやすい社会。これを作るのが政府の役割だと思っていますので、女性の輝く社会を実現するために努力していくのが政府の方針であります」と説明しました。

また、失言や問題発言という認識はあるか聞かれると、「それはまったく。趣旨としてはあの場で結婚について聞かれましたので、国民の皆様からしても大変人気の高いビッグカップルでありますので、世の中が明るくなって、まさに皆様が幸せな気分になってくれればいいなという風に思っている中での、そういう趣旨での発言でした」とのことです。

それに対し、「女性と人権全国ネットワーク」の共同代表・佐藤香氏が、「『結婚したら出産』という短絡的な考え方は多様な女性の在り方をまるで理解できていない」「『国家に貢献』という言葉はまさに戦時下で行なわれた『兵力、労力のための人口増加政策』を思わせ、不適切かつ失言」といった理由で発言撤回の署名を募っているとのことです。

菅氏の発言を肯定するわけではありませんが、発言撤回に関わる佐藤氏の主張やそれに対する反応の論理的飛躍は指摘すべきでしょう。

まず、菅氏の発言は、政治家としてはもう少し慎重になるべきです。「貢献」という表現も、正直、よろしくない。個人が、なにを考え、どのような信条をもつのかは自由ですが、政治家として、男女共同参画会議の議長である以上、それなりに勉強をし、今、国民がどこに向かうべきかについては真摯に考えないといけません。

一方、いろいろな女性がいるわけですから、結婚をする人、しない人、子どもを産む人、産まない人、そして、産みたくても産めない人がいます。しかし、それに気をつかえ、というのは変ではありませんか? 例えば、産婦人科の待合室で、妊娠して喜んでいる人は、不妊治療中の人の前では喜びをおさえ、遠慮しないといけませんか? そうではないでしょう?
人それぞれに事情があり、事情があることを想像し、理解できれば良いだけです。

今回、菅氏に対して、発言撤回を要請するためだけに署名を集めているようですが、少し乱暴な言い方をすれば、まったくもって 生産性がなく、計画性のないもの だと思います。

相手は、菅氏ですよ。
そもそも論で考えてください。

まず、子どもを産むことができるのは、女性だけ です。こればかりは、男性に産めといっても、できないのです。女性にしかできない行為であり、産む・産まないは個人の自由ですが、産みたいと思っている女性がいるのも事実です。この事実は、事実として認識する必要があります。

それをふまえて、なぜ、子どもを産むことをあきらめる人がいるのか、という問題を考えましょう。そのひとつが、不安定な雇用などに象徴される 所得の低さ です。女性にとって、結婚・出産・育児・介護などによるキャリアストップの場面はいろいろあります。女性だけがそのリスクを背負うことになる背景には、社会構造によるものが大きいのです。
女性にしか子どもは産めません。しかし、それ以外のことは男性にもできます。まず、その当たり前のことが当たり前に思える社会になることが必要です。子どもを産むにも育てるにも、お金が必要です。それを確保するための仕事を辞めざるを得ない社会構造は、改革しないといけません。介護についても同じです。

そのことは、おそらく、子どもを産みたくても産めない人がいる、という問題にも関わることです。原因のひとつとして「晩婚化」があるのであれば、その要因でもある 雇用問題の改善 が必要でしょう。不妊治療の経済的負担が問題であれば、医療制度の改善 が必要になります。

菅氏に思いを訴えるのではあれば、発言の撤回など生ぬるいことを言わず、このような社会構造を改革を中心に据えるのが、生産的であると思うのですが、いかがでしょうか。

現実問題として、人口減少による国家における経済的な損失はありますし、例えば年金問題などはそのわかりやすい結果ではないでしょうか。一方、子どもを産みたくても産めない社会構造がある。
そのことをきちんとふまえた上で、菅氏には、根本的な改革を求めることが、発言撤回よりも必要なことのように思うのです。






nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:妊娠・出産

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

トラックバック 0

トラックバックの受付は締め切りました

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。