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昔話法廷の結末がかたるシュールな現実:こぶた「正当防衛です」 [ニュース(国内)]

NHKのEテレで放映中の「昔話法廷」は、なじみの深い昔話をモチーフにした、これまでになかった法廷ドラマシリーズ。
「昔話の主人公たちが訴えられたら…?」という設定で作られています。


第1話は、「三匹のこぶた」。
オオカミを殺害したこぶたが“正当防衛”で無罪か、それとも計画的犯行で有罪かを問います。
被告人は、末っ子のこぶた。煙突から侵入したオオカミを、大鍋に沸かした熱湯の中に転落させ、フタをして閉じ込め殺害した。それは、突然襲ってきたオオカミから身を守るための"正当防衛"だったのか?それとも、周到に準備をした上での計画的犯行だったのか?

第2話は「カチカチ山」。
敵討ちでタヌキを殺そうとしたウサギを刑務所に送るか、それとも“執行猶予”にするかが争点です。
被告人はウサギ。親のように慕っていたおばあさんをタヌキに殺され、敵討ちを決意。ウサギはタヌキに火を放ち、火傷の傷口にとうがらし味噌を塗りつけ、池に沈めて殺そうとした。ウサギを刑務所に入れるか?それとも情状酌量で"執行猶予"にするか?

第3話は「白雪姫」。
被告人の王妃が犯行を全面否定します。「白雪姫に会いに行ってなんかいない!」。王妃は白雪姫を殺そうとしたのか、それとも無実なのかを考えます。
被告人は、王妃。白雪姫の美しさに嫉妬を募らせていた王妃は、白雪姫に毒リンゴを食べさせ殺そうとした。しかし、王妃は犯行を全面否定。「白雪姫に会いに行ってなんかいない!」王妃は白雪姫を殺そうとしたのか?それとも無実なのか?


いわゆる小学校の国語や道徳、総合的学習などでの教材としても活用できるよう考えられたものでしょう。
番組のねらいとして、以下のような説明がありました。

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この法廷ドラマの特徴は、最後に判決が出ないことです。判決を下すのは、それを教室で観た子どもたちです。一人一人が「裁判員」として、争点は何か、被告人はなぜ罪を犯したのか、証拠は信用に足るのか、どれぐらいの量刑が妥当なのか、登場人物の言い分をもとに議論を交わしていきます。

裁判員の体験を通して、子どもたちが裁判員制度の意義を学ぶのはもちろん、心情を把握する力、さまざまな側面から論理的に考察する力、考えを適切に他者に伝え合いディスカッションする力を身につけることが、番組のねらいです。

法教育の一環として公民の授業で使っていただくのはもちろん、国語や道徳、総合的学習の時間などで幅広く使っていただければ幸いです。
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かつて、裁判員制度ができたころにも似たような番組が出てきました。
そして、最近のディズニーをはじめ、映画や広告にひっぱりだこになっている童話は、いつの時代も、いろいろな形でリメイクされてきました。『本当は怖いグリム童話』シリーズもそうです。童話という、誰もが知っているモチーフを使い、そこに新たな視点と展開を入れるという手法は、創作の世界では鉄板ネタです。なぜなら、完全にオリジナルではないので、創作自体が簡単ですし、すでに知名度としては抜群なので、余計な宣伝をいれなくても、流布しやすい、という利点があるからです。

日本新聞協会広告委員会が「しあわせ」をテーマに実施した2013年度「新聞広告クリエーティブコンテスト」で、1091作品の応募の中から栄えある最優秀賞に輝いた作品も、同様です。

お父さんは桃太郎という.jpg

「ボクのお父さんは、桃太郎というやつに殺されました」と言っている鬼の子どもを描いた作品。
作品の名前は「めでたし、めでたし?」。作者は「ある人にとってしあわせと感じることでも、別の人からみればそう思えないことがある。違う視点でその対象を捉えるかによって、しあわせは変わるものだと考えました」とコメントしています。
審査員からは、「読み手の心に小石を投げるような作品」や「逆からの視点で幸せとは何かを考えさせる発想」「新聞協会が選ぶにふさわしい、エッジの効いた作品」と高く評価されているということですが、この手法は、昔から行われているもので、斬新性がないのですね。既存作品のパロディというと和歌の世界における「本歌取り」や、近年においては、芥川龍之介の作品にもよく見られます。

とはいえ、日本人もそうですが、人間は、パロディに対する反応がとても良いのです。
最近、童話をモチーフにしたものがあまりにも多くて、若干、食傷気味なのですが、それでもつい目を向けてしまう、そういう吸引力(?)を持っているのです。

誰もが知っている、どこかで聞いたことがあるあの物語は、・・・実は?

探究心をはぐくむ教育が推進されている現在、情報を鵜呑みにしないリテラシー教育としては、確かに有効かもしれません。
もちろん、メディアの情報を鵜呑みにしてしまうオトナも同様です。
この教材、確かに、いろいろと使えそうです。
・・・と、やはり見ちゃうんですよね、私も。ああ、童話の威力、おそるべし!






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