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心理学の研究結果、6割以上が再現不可能?再現性は39%だけ? [ニュース(IT・科学)]

STAP問題で、再現性の有無が話題になっていました。
科学(サイエンス)の世界では、再現性の有無が重要であり、論文捏造騒動で有名なヤン・ヘンドリック・シェーンの場合も、再現不可能であったことが疑惑の決定打になりました。

・・・心理学の世界も、ですか。
8月27日に、人がどのように行動したり思考したりするかに関する科学的研究は、外部専門家らによる研究結果の再現が不可能なものが多いとの研究報告が発表されました。記事によると、科学者270人からなる研究チームは、2008年に米国の主要査読学術誌3誌に発表された心理学と社会科学の研究論文100件について、その結果の再現を試みたそうです。米科学誌サイエンス(Science)に発表された調査結果によると、元の研究論文と同じ結果が得られたのは、全体の39%にすぎなかったといいます。
なお、調査対象論文の研究テーマの範囲は、人々の社会生活や他者との交流から、知覚、意識、記憶などに関する研究までに及ぶものだということです。

心理学というと、かつては文学部などの人文科学系に配属されることが多かったのですが、よくよく考えればそれも変な話で、現在の社会科学系に配属されるのが穏当かと思います。心理学というのは、「全般的な人間心理」に焦点をあてた基礎系・実験系心理学と、「特定の人間心理」に焦点をあてた臨床系・教育系などの応用心理学に、大きく分類できますが、いずれにしても、データ分析が要のような印象です。
データを扱っていると、心理学系の同僚に意見を求めたりします。
私は、どちらかといえば、量的というより質的調査が主になるのですが、必要に迫られて、少ないデータで結果を出さないといけない現状を考えると、今回の研究結果についても、あまり驚きません。したがって、複数の結果を整理・分析する力が必要になる、ということになるのですが。

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サイエンス誌の編集主任を務める心理学者のギルバート・チン(Gilbert Chin)氏は「今回のいささか落胆させられる結果については、各学説の妥当性や虚偽性に直接言及するものではないことに留意する必要がある」と話す。しかし、その一方で「今回の結果が実際に示しているのは、原著論文の実験結果の多くに関して、それほど信頼を置かないようにするべきということだ」とも指摘した。
論文共同執筆者の米バージニア大学(University of Virginia)のブライアン・ノセック(Brian Nosek)氏によると、科学者らが常に自らに問いかける必要があることを、今回の研究は示しているという。
ノセック氏は、記者会見で「科学的な主張が信用できるものとなる根拠は、それを生み出した人の地位や権威ではない」と述べ、「科学的主張の信頼性は、その主張の根拠となる証拠の再現性に部分的に依存している」と語った。
問題が生じる恐れがあるのは、科学者らが「有意」と考えられるもののみを含めるために自説に都合の良いデータだけを選び出す場合や、研究規模が非常に小さいために偽陰性や偽陽性が発生する場合などだ。
ノセック氏によると、科学者らは自身の研究成果を主要学術誌に定期的に発表する必要に迫られており、このプロセスが実態の歪曲(わいきょく)につながる可能性があるという。
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心理学もまた、再現性が求められることは当然でしょう。
ただ、新規性のある研究テーマについて短期間で成果を出さなければならない、という現在のアカデミズムの問題点がまた出てきました。産学協同ではありませんが、科学は、いろいろなものと結びつくので、競争が激しいのは仕方ありません。日本のアカデミズムと、特に欧米のアカデミズムが置かれている環境が異なるのも問題視されていますが、グローバル化が進んでも、少なくともここ数年は改善されることはないでしょう。
それでも、改善をしていかなければ、いけないのですが。

心理学は、かつては人気の学部でしたが(今も一定の人気がありますが)、臨床系など、身近な問題としてかかわる領域でもありますので、ぜひ、改善してほしいものです。あ、別に心理学だけでなく、アカデミズム全体にいえることですが。







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