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アニメ「銀河鉄道の夜」が東京国立博物館で野外上映 [ニュース(教育)]

杉井ギサブロー監督による宮沢賢治原作のアニメ映画「銀河鉄道の夜」(1985)が、10月2~3日に東京国立博物館の本館前で野外上映されます。
夜空の下で、「銀河鉄道の夜」を見る・・・ロマンティックですね。

昨年に第1回が実施されたようで、2日間で8,600人が来場したそうです。
第2回の今回は、宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」で、宮沢賢治は東京国立博物館に足しげく通っていたことが手紙などに残されており、縁のある地での野外上映になります。雨天時は先着380人で、平成館大講堂で開催予定。事前申し込みは不要で、当日会場に行けば上映会に参加することができるということです。

長編アニメーション「銀河鉄道の夜」は、監督が杉井ギサブロー、原案がますむらひろし、そして音楽が細野晴臣で、登場人物は猫のキャラクターで描かれています。2011年には、杉井ギサブローとますむらひろしが再びタッグを組んで、宮沢賢治の「グスコーブドリの伝記」をアニメーション映画化しています。

原作の『銀河鉄道の夜』は、今でこそ宮沢賢治の代表作のひとつとされていますが、生前に発表された作品ではありません。賢治の死後に、草稿のまま発見されたため、話のつながりも順番も実はわからないことが多いのです。したがって、さまざまな出版社から『銀河鉄道の夜』は刊行されていますが、監修した研究者などによって、その順番や文章は、少しずつ異なります。そこが魅力といえば、魅力といえます。未完の童話作品、として。
ジョバンニと、友人のカムパネルラが、ケンタウル祭の夜に銀河鉄道で旅をして、そして、やがて戻ってきた日常の世界で知る、現実と銀河鉄道の意味。
このアニメーション映画「銀河鉄道の夜」は、上手に、いろいろな要素を組みこんで、物語を作っています。最後に、「春と修羅」の朗読がありますが、このアニメは、「銀河鉄道の夜」をとおして、宮沢賢治の世界を描き出した、といっていいかもしれません。タイタニック号のエピソードが入っているのは、細野晴臣が関係しているからと言われます。

これまで、数度にわたる映画化やアニメーション化、演劇化、プラネタリウム番組が作られており、未完だからこそ、クリエーターの心を動かすのかもしれません。

銀河鉄道の夜.jpg

映画「銀河鉄道の夜」は10月2~3日19時より東京国立博物館で上映。
料金無料。
※ただし当日の入館料(一般620円、大学生410円)は必要。
70歳以上、高校生以下、キャンパスメンバーズ加入校の学生は無料


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「アベ政治許さない」教室と廊下に貼り紙 堺の公立小:一方通行な主張は自己満足でしかない [ニュース(教育)]

大阪府堺市の公立小学校で7月18日から8月22日にかけて安倍政権を批判する貼り紙が教室と廊下に貼られていたといいます。
今月3日の堺市議会で、自民党市議の質問を受けた市教委教育次長はそれを認め、「政治的中立性が求められる学校現場での事象として重大なことと受け止めている」と謝罪しました。

貼り紙は、学童保育事業「のびのびルーム」の教室と廊下にあり、事業を受託した外郭団体の50代の非常勤職員が教室の私物のプリンターにA4判、廊下の掲示板にA3判の「アベ政治を許さない」と書いた紙を貼ったとのことです。

非常勤職員は、作家の澤地久枝氏らがネット上で呼びかけた「アベ政治を許さない」全国一斉行動に応じたもので、「安全保障関連法案の動きに危機感を覚えて貼った」と話しているそうですが、問題は、2点です。

まず、1点目は、貼った場所が小学校であったことです。
小学校に限らず、学習指導要領によって教育が行われている現場では、政治的に中立でないといけません。そのため、教員自身の政治的発言は控えることが肝要でした。
しかし、選挙権年齢を20歳以上から18歳以上に引き下げる改正公職選挙法が6月17日に参院本会議で全会一致で可決、成立しました。6月中に公布され、1年後に施行されることになります。
高校生にも選挙権があることになり、教育現場はどう対処していけばいいのか、軽く騒動になりました。

解決方法としては、次の2点目に関わります。

2点目は、この非常勤職員が、一方的であり、一方通行な主張しか貼り出さなかったことです。
まず、学童保育事業「のびのびルーム」の教室と廊下に貼ったとのことですが、誰に見てもらいたかったのでしょうか。子ども? それとも、子どもに付き添う保護者?
普通に考えたら、前者ですね。
次に、対象者の心に残すためには、理由がないといけません。理解とは、たとえば、メリットとデメリットの両方を見て、自分の頭で考えないと生み出されないものです。
つまり、その非常勤職員の行動は、目的があるようで、ないのです。

教育現場における政治的中立性の担保は、実に簡単なことです。
教員はただテーマを提示するだけです。そこに、自分のポリシーを反映させてはいけません。なぜなら、「考える」機会を奪うことになるからです。

生徒は、メリットとデメリットを調べ、提示し、議論を深めていけばいいのです。比較をして、はじめてものごとを多角的に見る技術が身につきます。結論に導くために必要な論理的思考力を高めることができます。
一方通行な主張は、自己満足に過ぎないのです。そこが、この騒動の最大の問題点なのではないでしょうか。

【社会実験】もしも、シャケの切り身が泳いでいたら? [ニュース(教育)]

やはり、動画をアップします。

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魚離れが進むニッポン。食卓で出される魚が切り身のままで泳いでいると思っている子供­がいるという
都市伝説を解明すべく、精巧なシャケの切り身ロボを開発、相模原市の水族館 アクアリウムさがみはらの協力を得て実験が行われました。
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静岡放送なのですね。

水族館にいて、いろいろな魚を見ているのに、「これなんていうお魚なの?」「変な魚」と言っているお子さまのそばにいる保護者の方は、きちんと、彼・彼女の疑問に真剣に答えてあげていただきたいと思います。

そして、一番はじめに声を出している「なに、これ?」と言った小学生(?)、君はえらい。
水族館に突如現れた変な物体に、まずは疑問を持ちましょう。
他の魚たちとの差異を見極め、これが生物として存在可能なものなのか、じっくりと考えると、君は第二の「さかなクン」になれるかも???

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もしも水族館の水槽で“シャケの切り身”が泳いでいたら?リアル過ぎるのも教育的にナシだろ [ニュース(教育)]

水族館の水槽で悠々と泳ぐ魚たち。その中に、もしも“シャケの切り身”が混ざっていたら、子どもたちはどんな反応をみせるのか?

魚離れが進む昨今、子どもたちは「魚は切り身で泳いでいるらしい」と都市伝説のようにささやかれてきましたが、それを解明すべく、実験が行われました。
その実験は、9月6日16時よりTBS系列で放送するバラエティ番組「キャイ~ン×よゐこの そうだ、魚屋さんへ行こう!」のプロモーションで制作されました。
神奈川県相模原市の水族館・アクアリウムさがみはらの協力を得て、シャケの切り身ロボを水槽に放ちます。動きが、妙にリアル。
ゴム製の切り身は、食卓に乗るそれとは違い、質感が作り物っぽいのですが、水槽越しに眺めれば、若干は緩和できるのかもしれません。

テレビでは、この手の実験は多いのですが、気になることがあります。
きちんと子どもたちへのアフターフォローはできているのでしょうか?
アフターフォローなしで、もしくは中途半端なアフターフォローで、この手の実験をするのは、教育的効果がないどころか、悪影響を与えかねません。
当然ながら、保護者によるアフターフォローも必要なので、実験のことを理解し、子どもたちに説明ができる保護者が対象であることも必要なのです、おそらく、バライティーですから、おもしろければそれで良い、という発想で、教育的な影響についてはいっさい考えていない可能性もあります。

テレビでご覧になる場合は、お子さまの「これなに?」「本当の魚って、どんなの?」にきちんとと答えられるよう、保護者の方にはスタンバイしてもらいたいものです。

生物として、生存するための機能や臓器について説明をすれば、切り身の形で存在することのありえなさを子どもたちは知ることになるでしょうし、生物に興味を持てば、将来の夢も広がる可能性も大です。この番組を機に、子どもの将来への選択肢を増やすことができたら、すばらしいと思いませんか?
ね、お父さん、お母さん。

おねぇさぁーん! 日本科学未来館のアニメ「フカシギの数え方」に宿る狂気は現在のアカデミズムへのアンチテーゼ [ニュース(教育)]

2012年にYouTubeに公開された日本科学未来館のアニメ動画「フカシギの数え方」が、壮絶すぎます。
2012年に話題になり、ああ、学問など、なにかを追究する行動は、えてして周囲の者には「狂気」に映るのか・・・と思ったと同時に、科学の世界は・・・深い、深すぎると思いました。
心理学の再現性は39%という記事を見てから、こちらも思い出しました。

話題の動画は

「フカシギの数え方」おねえさんといっしょ!みんなで数えてみよう!
"The Art of 10^64 -Understanding Vastness-" Time with class! Let's count!

というものです。
日本科学未来館3階常設展示メディアラボ第11期展覧会「フカシギの数え方」において上映されていたものが、YouTubeにアップされたわけです。

百聞は一見に如かず、まずは、見てみましょう。



日本科学未来館によると

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「フカシギの数え方」で紹介している、組み合わせ爆発の例です。
「それでもね。私はみんなに「組み合わせ爆発のすごさ」を教えたいの!止めないで!」
お姉さんと子どもたちが実際に数え上げる大変さを伝えます。
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・・・はい。本当に、大変ですね。
「組み合わせ爆発」とは、計算機科学、応用数学、情報工学、人工知能などの分野で、解が組合せ(combination)的な条件で定義される離散最適化問題において、問題の大きさn に対して解の数が指数関数や階乗などのオーダーで急激に大きくなってしまうために、有限時間で解あるいは最適解を発見することが困難になることをいいます。
この困難さを、印象的に表現したという点では、このアニメはすばらしいです。

num03.jpg

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わかりますよ。
確かに、私も数字は嫌いではないので、こうして突き進んでしまう感覚も、よくわかります。楽しいんですよ。理解できます。
しかし、6年後の彼らが単純計算で導き出せるように、答えを出せるのは何年後になるか、ということは、一度、立ち止まって考えたほうが良いのではないでしょうか。死んでしまいますよ。自分の命がつきても、解明した結果を未来に残したい、というなら、話は別ですが。

ああ、なるほど。
これは、学問とは、科学とは、後世に残してこそ価値があるという、現在の短期量産的なアカデミズムたいするアンチテーゼだったのですね。かつて、自分は死んでも、100年後に残る作品を書きたい、といった作家がいましたが、そういう高尚な学問にたいする姿勢を、このアニメは表現しているのかもしれません。
そう考えると、このアニメのすばらしさ、アカデミズムの普遍性を感じ入ります。

で、あるならば、ですよ。
お姉さん、彼らのこの質問には答えてあげましょうよ。

num01.jpg

ここ、軽く無視ですから。

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「金八先生」のモデル、教育評論家の三上満さん死去 [ニュース(教育)]

ドラマ「3年B組金八先生」のモデルとしても知られていた、教育評論家の三上満氏が21日、食道がんで死去したという。享年、83歳。

東京大学教育学部を卒業後、1955年に東京都公立中学校の社会科教諭となり、非行対策などの教育実践を積み重ねたことから、その実践が「3年B組金八先生」のモデルになったといいます。
まず、このドラマにモデルがいたことに、軽い衝撃を受けました。
でも、確かに、モデルが必要ですよね。

1984年に放映された大映ドラマの代表作「スクール☆ウォーズ 〜泣き虫先生の7年戦争〜」も、京都市立伏見工業高等学校ラグビー部とその監督で元日本代表フランカーの山口良治氏をモデルとしていますから。一時期のトレンディードラマや、近年のドラマはともかく、教育現場を扱う場合は、特殊な業界であるから、モデルというものがないと、なかなかリアリティは演出できないと思いますし。

三上氏は、その後、教職員組合役員を歴任し、労働組合にも関わり、その延長線上で1999年4月の東京都知事選に立候補したのだろうと思いますが、選挙落選後の人物のその後の人生を描くのもおもしろいかもしれません。それにしても、政策理念として政党をチョイスするのは良いのですが、どこから出馬するかというのも、なかなか難しいものですね。

戦後の教育変遷をみるためにも、三上氏の著書というのは目を通してみたいと思います。
そもそも、非行問題は、ひとつのキーワードになっていますから。
それにしても、公立の中高出身の教員、特に校長経験者のセカンドステージというのは、似たようなルートが多いな、と思う今日この頃です。

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STAP問題特集(NHK)がBPO審理入り [ニュース(教育)]

STAP細胞問題は、2014年1月に英科学誌『Nature』に発表されたSTAP細胞に関する論文2報を発端とする、科学界の不正問題および一連の騒動のことを指します。STAP細胞発表のインパクトは、大きく、次の2点によるでしょう。

(1)世界の3大科学誌(Nature、Science、Lancetなど)のひとつに発表された、話題性をもった細胞であること。
(2)ファーストが小保方晴子という、当時、弱冠30歳の、独立行政法人理化学研究所発生・再生科学総合研究センター・細胞リプログラミング研究ユニットの若きユニットリーダーであったこと。

特に、(2)に関しては、メディア向けであったと思いますし、理研側もそのように仕向けたきらいがあります。
確かに、若き理系女性研究者のセンセーショナルなデビューは、iPS細胞の山中伸弥教授のノーベル賞にわく日本に、科学大国日本の底力と未来を予感させました。また、小保方氏が、学部時代の応用化学から、大学院では再生医療に専門を転向したことも、アカデミズムの世界では意義のあることでした。なぜなら、日本では、たとえば大学時代に近代史を専攻していた学生は、大学院でも近代史を専攻するという、学部と大学院の専門が同一の場合がスタンダードで、ひとつの学問領域を極める傾向にあります。一方、アメリカでは、学部と大学院の専門が異なるのがスタンダードです。その理由としては、アメリカの大学は、リベラルアーツ教育だからです。現在、日本でもリベラルアーツ型教育を行う大学が増えましたが、アメリカのそれとは異なります。これに関しては、また、別途語りたいと思いますが。
・・・話を戻します。
たとえば、ノーベル賞を獲得するような、より創造的で独創性のある研究成果をうみだすためには、ひとつの学問領域ではなく、複数の学問領域を基礎とした研究が求められる、ということで、日本でもアメリカ型教育の重要性を唱えるようになりました。その結果として、「学際領域」なる学問分野が新設されたわけです。小保方氏は、まさに、国が推進する教育を実践し、結果を残してきた研究者として、文科省的にも宣伝材料になる存在でした。

STAP細胞問題について、時系列に整理すると次のようになります。

2014年
1月:STAP細胞に関する論文2報発表 (Nature)
3月:若山氏による論文撤回の呼びかけ
4月:理研調査委員会による不正認定→小保方氏による会見
7月:論文撤回
12月:STAP細胞はES細胞もしくはES細胞の混入疑惑

2015年
2月:理研が論文不正関係者の処分を発表(小保方氏は「懲戒解雇相当」)
3月:理研がSTAP問題の対応にかけた経費について発表
7月:Natureへの論文投稿費用(約60万円)が小保方氏より理研に返還

そして、今回、2014年7月放送のNHKスペシャル「調査報告 STAP細胞 不正の深層」が、小保方氏の申し立てにより、放送倫理・番組向上機構(BPO)の審理入りになったことが明らかになりました。

この問題は、今後、おそらく次の2つの点から語られていくでしょう。

(1)メディアによる番組制作のありかた
(2)STAP細胞問題についての真相究明

個人的には、(3)研究者がおかれた世界、という視点を提案したいですね。
今、文科省や日本学術会議や日本学術振興会では、研究者の倫理についていろいろなプログラムを実施していますが、小保方氏の博士論文問題とか研究者倫理についての問題は、氷山の一角でしかありません。研究者倫理に反する行為は日常的によく見ます。また、故・笹井芳樹氏と山中伸弥教授の複雑な関係などは、一般社会においても存在する問題ですが、同じようなことが、これまた日常的に起こっているわけです。
そのなかで、小保方氏の今回の申し立てについては、「世も末だな」と思う部分もありますが、これを機に、日本のアカデミズムについて真剣に考える風潮になればと思いますし、願ってやみません。
理研が、かなり手際が悪かったとはいえ、最終的に早々の幕引きを行って以来、他にも社会的な問題が多くあったということで、なんとなく忘れ去られた感のある、研究者問題や、日本の科学界への信頼性について、いま一度、真摯に向き合う必要があると思います。
「文系廃止」論も出ていますが、これも愚策です。理系重視、結果重視の風潮が、研究倫理問題を引き起こしたことを忘れてはなりません。日本学術会議の声明でもありましたが、文系にもやや厄介な問題はありますが、研究倫理について取り組むためには、文理融合の教育と、取り組みが必要です。

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感想文テンプレが登場? [ニュース(教育)]

夏休みの宿題で、苦労したものはなにか?
そういう話を先日していたのですが、私は、基本、夏休みに入ると同時に、宿題をしあげてしまうような小学生だったので、特に、宿題に苦労したという思い出はありません。しいて言えば、いっきに仕上げることができない「日記」類でしょうか。コツコツと努力するタイプではなかったため、こればかりは、夏休みの最終日などに、カレンダーを見ながら、夏休みの日々を思い返しながら書いていたと思います。

一般的に、夏休みの宿題で苦労する代表作といえば、おそらく次の2つでしょう。

・自由研究
・読書感想文

自由研究とは、「自由」に「研究」するというものです。そのままです。つまり、なにをしてもよいという自由度高めの楽勝課題でしたので、楽天家の私などは特に苦労した記憶はありません。しかし、自分でテーマを考え、解決するための方法をさがし、結果をだす、という一連の作業については、難しいという声が多いのも事実です。そのため、近年では、大学やさまざまな施設などで、自由研究用のワークショップが行なわれたり、自由研究キットが販売されています。
個人的な見解を述べさせていただきますと、このような風潮は、自分でテーマを決める、という第一段階を、オトナが安易に与えてしまっているということでもあるので、教育的効果を考えると、あまり勧められるものではありません。子どものポテンシャルというのは、オトナが思う以上に、高いです。普段から、身のまわりの事象に対して「なぜ」と考える習慣さえついていれば、子どもはその「なぜ」を解明するために、自分で方法を調べ、解決します。ときには、図書館で専門書を読んだりと、ピュアな感性は順応も吸収も早いものですから。
ワークショップやキットは、ある程度、子どもの興味の方向性が決まってから利用するとよいかもしれません。

そして、もうひとつの苦労が、読書感想文です。
日記系をいっきに仕上げることからも、私のポテンシャルを垣間見せてしまったかもしれませんが(なぜ、ここで上から目線?)、文章を書くことに対して苦に思ったことがないですし、普段から図書館で本を借りて読んでいたので、読書感想文にかんしては、苦労した記憶はありません。
しかし、これを苦手とする小学生が多いのは事実です。小学生のみならず、大学生も同じですが。

それに対して、こういうものが出てきましたか、「感想文のテンプレート」。

感想文テンプレ.jpg
ベネッセが用意している読書感想文の「テンプレート」。
サイトでは、この他にも書き方のヒントが多数紹介されています。


Twitterに投稿された、小学校3年生の子どもが持って帰ってきた夏休みの宿題の中に、読書感想文を書くためのテンプレートがあることを紹介し、同じような文章を自身が担当する大学生が書いている、とのつぶやきが、現在、話題となっているようです。このユーザーがアップした「これで書ける! 読書感想文の書きかた」のテンプレートは、ベネッセのものよりもより詳しくて、「ぼくは(本の名前)という本を読みました。この本を選んだのは、この本が(選んだ理由)からです」「いちばん心に残ったところは(だれ)が(どうした)ところです」などとあり、おいおいこれはないだろ、と確かにツッコミを入れたくなるようなものです。
このテンプレートにかんしては、賛否両論があるようですが、大切なのは、テンプレートをどのように使うか、です。
このプリントを配るさいに、先生は、感想文に必要な要素について説明していることが前提ですが、このつぶやきからはそこまではわかりません。しかし、なにも説明せずにこのプリントを配ったとは、普通に考えれば、想像できないのです。

読書感想文だけでなく、小論文の書き方についても、一種のテンプレートというものは存在します。
テンプレートの存在意義は、文章には、その文章の種類によっては書くべき要素が決まっており、適切な論理構成があるということを学ぶことができるという点です。論理構成というのは、心理学や脳科学の観点から、もっとも効率的な型というものが存在しており、その型を学ぶことで、論理的思考を身につけることができるのです。
もちろん、型を学ぶだけでは、文章は上達しません。
そのため、書く内容について考える「創造力」を「思考力」を同時に学ぶ必要があります。いわゆる、ここで挙げた例でいうと、テンプレートの空欄部分を埋める作業です。それを身につけさせるには、いくつかの方法がありますが、一般的なのは、資料を読み、分析・整理し、考え、アウトプットさせることです。

Twitterの投稿者は、大学生の文章の中に、テンプレートを使って書いたような文章が多くみられたと記しています。文学部の学生がほとんどいないという受講生に、どのような課題を課したのかはわかりませんが、一般教養というのですから、おそらく、主な受講者は1年生でしょう。高校までに課されてきた文章の代表格は、読書感想文です。つまり、彼らは、書くべき要素についてはしっかり学んできたのでしょう。ただ、大学ではいろいろな文章を学びます。大学で必要とされる文章が、高校までの文章とまったく異なることを知らない状態なのですから、そこを教える必要性があることまでは、気付いているのかいないのか。

その前提を度外視して、テンプレートについて議論するのは、・・・時期尚早というもの。
テンプレートは、どのように活用するか、というのが重要なのです。
テンプレート問題を出すさいには、どのような学びのもと配られ、活用方法が指示されているのか、確認する必要がありますので、まずは、その情報が出してもらうことが先決です。
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教育番組の王者セサミストリートのゆくえ [ニュース(教育)]

米国生まれの子ども向けテレビ教育番組「セサミストリート(Sesame Street)」が、これまで45年間放送を続けてきた米公共放送局からケーブルTV局HBOに移行すると、番組の制作グループが明らかにした。今後、より多くのエピソードを制作することが可能になる見通しという。

まずは、「え?」という驚き。
そして、次に、ケーブル化の波は不動の王者セサミも巻き込んだか、という単純な感想。

子ども向けの教育番組の先駆者、そして絶対王者として不動の地位を築いてきた、「セサミストリート」。その影響は、日本にも届いており、セサミの制作にたずさわったスタッフによってNHKの教育番組が形作られたという背景もあります。「ひらけ!ポンキッキ」のモデルがセサミであったことは有名な話ですが、その制作者の講演を聞き、教育番組としてのセサミの質の高さに感心・感動したことは、記憶に新しいです。

セサミ自体は、その一部を、数年前からケーブルでも放送されるようになっていましたが、それが全面移行する形になったのですね。
さまざまな情報が氾濫し、ビジネスの展開も広がっている現在、公共放送からより柔軟な制作が可能なケーブルに移行するのは、時代の流れかもしれません。事実、日本でも2011年の地デジ化以降、さまざまな番組を目にするようになりました。まさに、玉石混合というコンテンツの山ですが。

未就学児対象の教育番組は、本当に進化しました。
教育学のみならず、心理学や脳科学などの研究成果をふまえ、子どものみならずオトナも楽しめるコンテンツも増えてきました。そこに商業的な要素が加わると、少しテクニック過多になってしまうのでは、という懸念を少し抱いています。私自身、幼稚園に通い、習い事をふくめ、教育環境的にはめぐまれたなか育ってきたので、この発言は、やや乱暴なのかもしれませんが・・・、未就学児対象の教育番組は、シンプルであることが一番だと思います。幼児のアイドルといえば、日本ではアンパンマンですし、複雑なことはあまりありません。それは、セサミも同じだと思います。

セサミがケーブルに移行しても、これまで通りの制作ポリシーでがんばってもらいたいと、切に願います。


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